5/16 活動報告 ガイド向けスキルアップ講習「ストーリーテリング/インタープリテーション」を函館で実施しました

既存ガイドのための「伝える力」を磨く講習

今回の講習は、すでにガイドとして活動している方々を対象にしたスキルアップ研修として実施しました。

ガイドに求められる役割は、単に道を案内したり、歴史や文化の知識を伝えたりすることだけではありません。参加者の興味や期待を理解し、その土地ならではの自然、歴史、文化、人とのつながりを、印象に残る体験として届けることが、これからますます重要になっています。

そこで本講習では、以下の3つを軸に学びを深めました。

  • 顧客理解
    参加者が何を期待し、何に関心を持っているのかを把握する視点
  • ストーリーテリング
    FACTを並べるだけでなく、地域資源を物語として伝える技法
  • インタープリテーション
    自分の経験や知識を通して地域の価値を解釈し、相手に届ける力

午前の部:函館を題材にしたバーチャル演習

 

午前中は、函館版の教材を用いて、ストーリーテリング/インタープリテーションの考え方を学びました。

題材として取り上げたのは、函館西部地区の歴史的建築や街の背景です。函館市文学館、ハリストス正教会、カトリック元町教会、旧函館区公会堂、旧相馬家住宅、旧イギリス領事館などをもとに、歴史的事実をそのまま説明するのではなく、どのように「意味のある体験」として伝えるかを考える演習を行いました。

今回、函館を題材にしたのは、参加者それぞれに函館への経験や思い出があり、自分自身の記憶や感覚を重ねながら語りを組み立てやすいと考えたためです。

講習では、FACT中心の説明と、体験や解釈を含めた語りとの違いを比較しながら、参加者にとって印象に残る案内とは何かを考えていきました。

 

 

 

 


午後の部:五稜郭での実地研修とガイド実習

 

 

 

 

 

午後は五稜郭に場所を移し、北海道教育大学函館校の奥平准教授による約1時間のガイドを体験しました。

NHK総合『ブラタモリ』の函館回にも出演された奥平准教授の解説は、歴史や背景の説明にとどまらず、その場の空気や都市の成り立ち、土地に積み重なった時間の流れまで感じさせる、非常に引き込まれるものでした。参加者全員が魅了され、優れたインタープリテーションに実際に触れる貴重な時間となりました。

その後、参加者は奥平准教授のガイドで得た知見を踏まえながら、さらに自分自身の経験や視点を加えて再構成し、ストーリーテリング/インタープリテーションの技法を用いたガイド実習に取り組みました。

同じ場所を題材にしていても、語り手が変わることで見え方や伝わり方は大きく変わります。受講者それぞれの個性や経験が生きた、非常に密度の高い実習となりました。


講習を通じて見えた学び

今回の講習では、特に次のような学びが共有されました。

1. FACTだけではなく「意味づけ」が大切

歴史や文化の知識は重要ですが、それだけでは参加者の記憶に残りにくいことがあります。
ガイド自身の体験や視点が加わることで、地域資源は単なる情報ではなく、体験価値として立ち上がることを確認しました。

2. 顧客理解が語りの出発点になる

参加者が何を期待し、どんな関心を持っているのかは一人ひとり異なります。
早い段階での会話や観察を通して相手を知ることが、伝え方の質を左右することが改めて共有されました。

3. 実地体験と実践の往復が学びを深める

優れたガイドを体験し、その後に自分の言葉で再構成し、発表し、フィードバックを受ける。
この流れによって、理解が知識にとどまらず、現場で使えるスキルとして深まりました。


参加者の声

参加者アンケートからは、次のような声が寄せられました。

  • 「参加者が求めているのは説明だけではなく、その場所にまつわる体験や思いを含んだ語りだと実感しました。」
  • 「参加目的が多様であることを改めて認識し、相手の期待を早い段階で把握する大切さを学びました。」
  • 「FACT中心の説明と、実体験を交えた語りの違いがとても分かりやすく、実務に活かせると感じました。」
  • 「現地で優れたガイドを体験した後に、自分の経験を踏まえて実践できたことが大きな学びになりました。」
  • 「Webやパンフレットには載っていない“生の情報”や、WOW体験の仕込みを意識したいと思いました。」
  • 「他の参加者の発表を聞き、その場で意見交換し、改善提案を受けられたことが印象に残りました。」

 

 

 

 


今回の講習の意義

今回の講習は、単なる知識の追加ではなく、すでに現場で活動しているガイドが、自分のガイドを見直し、さらに磨くための機会となりました。

ガイドの役割は、ルートを案内することだけではありません。
その土地の自然、歴史、文化、人とのつながりを、参加者にとって意味のある体験として届けることが、これからますます求められます。

JCTAでは今後も、既存ガイドの皆さまが現場で活かせる学びを深められるよう、スキルアップ講習の機会を継続していきます。

JCTAでは、ガイド資格取得後も継続的に学び続けられる環境づくりを大切にしています。
今後も、既存ガイドの皆さまを対象としたスキルアップ講習を通じて、地域の価値をより深く、より魅力的に伝える力を磨く機会を提供してまいります。
ご関心のある方は、今後の講習情報をぜひご確認ください。